今日は私の経験した家と土地の相続と、不動産に対する考えをお話ししようと思います。
私の父は18年前に亡くなりました。
誰かが亡くなると嫌でも発生するのが相続の問題です。
父と母は随分前に離婚していたので相続人は子ども達のみでした。
父は遺言を残していなかったので不動産の相続の話が全く進みませんでした。
(因みに預貯金、保険金などの相続は直ぐに済みました。)
理由はご想像の通り、親族間の意見の相違です。
そして17年間、まるで触れてはいけないことの様に、父の所有していた不動産の相続は放置され続けることになりました。
家は誰も住んでいなくても家の中の掃除や周りの草刈りなどが必要です。
そういった家の管理は私が来てやっていました。
冬はともかく夏は頻繁に草刈りをしないと直ぐに雑草だらけになります。
雑草を放置しておくと良からぬ人々がゴミを捨てに来たりします。
誰も住んでいない、住む予定もない空き家を管理することほど心と体に負担がかかることはありません。
借家として貸すことも親族間の意見の相違で出来ませんでした。
誰もいない実家に訪れる度に、出るのは溜息ばかりでした。
父が遺言さえ残していてくれたならこんなことにはならなかったのにと思っていました。
しかし昨年、とうとう私が相続人になり相続の手続きを済ませました。
本当は相続などしたくなかったけれど、私が相続しないと話が進まないからです。
相続手続きが義務化されるので仕方なくというのもありました。
相続した不動産は現金化し相続人間で分配する換価分割という方法をとりました。
家や土地が売れなければ私がずっと税金を払って所有し続けなければいけませんが、もうそんなことを心配していても前に進みませんから・・。
相続した不動産はこの家の他に農地が2か所です。
私は直ぐにこの家を空き家バンクに登録し、今は買ってくれる人を待っています。
早く手放したいので相当な破格値で出しています。
商談中の人が一人いますが、どうなるかはわかりません。
農地は色々な規制が掛かって簡単には売買することが出来ません。
相続した農地の内の一つは荒廃が進んでいるので農業委員会から非農地証明書を発行してもらえることになりました。
非農地証明書を登記申請書に添付し、法務局で地目変更をすれば売買規制が取れるので空き地バンクに登録する予定です。
もう一つの農地は荒廃が進んでおらず、何年も農地として使用していなくても地目変更は出来ません。
地目が田や畑の場合農業従事者にしか売買出来ないという農地法があるので売買出来る人が限られてきます。
農業従事者は減っているし、土地を増やしてまで農業を拡大させようと言う人は少ないでしょうから、荒廃が進んでいない農地はそのままにしておくしかないのです。
このように、私は親の所有する不動産の相続でとても大変な思いをしました。
このことが原因で仲違いをし、一切連絡を取らなくなった身内もいます。
空き家の管理も大変だし、慣れない相続手続きもとても時間が掛かりました。
処分できない農地は、使わないのにずっと税金を納めなければいけません。
こういう経験から、私はもう暫くしたら今住んでいる家を手放したいと考えています。
リースバック(持ち家を売り家賃を払いながら住み続ける)という方法を取るか、借家に住み替えるかはまだ決めていません。
不動産の相続で子ども達に心労をかけないためにです。
不動産は現金の様に簡単に半分にすることが出来ないですからね。
それが揉める原因でもあるのです。
土地や家を持つことが子孫のためになると思われていた時代に生きた父。
だからこそ私達に家や土地を残してくれたのだと思います。
それはとても有難いし、その気持ちには感謝しています。
だけど今は持たない時代。
残さないことが子孫のためになる・・。
洋服や食器は直ぐに捨てられるけれど、不動産はそう簡単には行きませんから。
でも、お父さん。
雨風を凌げたのもこの家があったから。
この家を建ててくれたお父さんにとても感謝しているよ。
有難う。
そして誰の物でもなかった17年間をごめんなさいと、この家に言おう・・。
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